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-相部屋

 同じ寮のなかでともに暮らす経験が、吉田寮の生活の中心を形作っている。吉田寮といえばまず共同生活といえるほどに、生活の場の共有が、吉田寮の屋台骨を支えているのだ。

 

 とりわけ、同じ部屋を複数人で分け合う相部屋生活は、学生寮ならではの生活形態だ。数年前までは個室もあったが、現在ではほとんどすべての部屋が相部屋として使用されている。吉田寮ではそれぞれの部屋の広さが異なるため、3人2部屋、5人3部屋など、広さに合わせて人を割り振っている。

 

 相部屋相手との関係は、深いつきあいに見えても意外にさっぱりしている。なかには毎晩一緒に鍋を囲むほど仲のよい部屋もあるが、多くの部屋では、寝起きの時間もちがえば、食事もべつべつにとる。普段はお互いに距離をとりながら、必要となれば真剣に話し合うのが、吉田寮独自の生活文化なのだ。吉田寮生は、友達だから、家族だからという理由で一緒に暮らしているわけではない。他人同士で住むからこそ、クールにつきあいながら、お互いに決めたルールを重んじることが大切にされる。

(高田敦史)

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